働け!がん患者!(ゆっくり療養したいけど...)

収入保証も医療保証も年金も無い人が癌になってしまったら...。肺腺がんステージ4サバイバーのテキトーすかたんエッセイブログです。古い順に1)から読んで頂ければ、とても幸いです。

28) ある日の病室の風景

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2017年11月1日 晴れ
今日から2泊3日でまた入院。明日は抗がん剤治療3回目。
午前中に血圧測定、酸素測定、採血、レントゲン撮影、CT検査、心電図、尿検査を行い、午後は結果を待ちながら明日に備えて休む。各検査の結果が出たところで主治医が総合的に判断し、明日、抗がん剤治療を行っても大丈夫かどうか決定する。

そんな、何もする事の無い、穏やかに晴れた午後の事だった。
オラの前方ベッドの患者仲間(定期的に同じ治療日になるので顔馴染みになってしまう人々)といっしょに窓の外の景色を眺めていた。そこに「午後の検診」のため、看護師さん二人が来た。
「あ~ら、二人で仲良く何見てんの~?」と言いながら、いっしょに窓の外を見始めた。四人で「あれがスカイツリーだ」「あれは新宿だ」「あっちが(今日は見えないけど)富士山だ」などと、景色を楽しんだ。
看護師さんは「ここでずっと働いているけど、こうやって外の景色を見た事ないなぁ.....。」「さ、検診検診!」体温と血圧と酸素を測って帰っていった。

清掃の姐さんが来た。ちょっとした世間話の後、「今日は富士山見えないねぇ~、あっちの方に見えるのよ。」と言った。実はオラも見た事あるんだけど、つい「へ~そうなんだ」と言ってしまった。姐さんは続けて「で、あっちがスカイツリーでしょ、(スカイツリーの約45度左を差しながら)あっちの方にはね、浅草が見えるらしいよ。」と言った。姐さんそっちは茨城だ。ここから見たらスカイツリーも浅草も同じ方向だ。浅草の何が見える?雷門か?そりゃあいくら何でも無理だ。誰にウソこかれたか知らないが、それは違う。しかしオラは、つい「へ~そうなんだ」と言ってしまった。

夕方、夕焼けをバックにした黒い富士山がうっすらと見えた。
「〇〇さん、富士山見えるよ。」と、前方ベッドの患者仲間を呼んだ。が、聞こえなかったらしい、そうだ、〇〇さんは耳が遠かったんだ。今度は大きな声で「〇〇さん!富士山が見えますよ!」と言ったところ、オラの左斜め前方ベッドの人(初顔合わせ)が「えっ!富士山見えんの!?」と言いながら出てきた。〇〇さんも「ん?富士山?」と言いながら出てきた。50歳代と60歳代と70歳代のジジイ三人で夕焼けの富士山を見た。これまたいい風景だ。

今日はいろんな人といっしょに景色を楽しんだ。なんだかいい一日だった。

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(続く)

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