働け!がん患者!(ゆっくり療養したいけど...)

収入保証も医療保証も年金も無い人が癌になってしまったら...。肺腺がんステージ4サバイバーのテキトーすかたんエッセイブログです。古い順に1)から読んで頂ければ、とても幸いです。

12) 病室のベッドの上で思った事 2

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2017年9月4日
上の写真は今年7月、まだがんとは知らなかった頃に行った沖縄の海。あれから2カ月も経たないうちに今はがん患者として入院中。なんと、その落差の激しい事よ。

この病院に入院している人達はオラより年上が多い。知り合った患者さんのほとんどがオラを見て「まだ若いのにねぇ」と言う。薄毛の58歳が若いのかどうかは何とも言えないけど、もしかしたら入院中のがん患者の中では一番若いのかもしれない。

オラが知り合ったここの入院がん患者は、年齢的にも年金生活をしている人ばかりだ。やはり会社員OBが多く、まだ自営業者には遭遇していない。オラぁまだ年金を貰ってないし、数年後貰い始めたとしても国民年金だけで生活はできない。ましてやそこから入院費用や治療費をずっと支払うなんてとても無理だ。

若い頃は(約40年前)、年金も保険制度も、みんな同一だと思っていた。職業によって差があるなんて知らなかった。学校では教えてくれなかった。それに、年金額(誰が幾ら貰えるのか)がはっきりしたのは、あの「消えた年金事件」の後だから、ほんの10年位前の事。それ以前は、うやむやで曖昧な年金制度だった。そもそも、勝手に「年金が消える」わけがない。「役人が民間人の年金を勝手に無駄使いして無くなっちゃいました事件」ですよね? で、今も相変わらず、景気を良く見せるために、民間人の年金をジャンジャン株式に投資してるんでしょ? どうせ他人のお金だから使いたい放題だよね。大人の世界の裏表、オラには良くわからないよ。

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ずっとサラリーマンでいたなら厚生年金や企業年金もあり、おそらくこんな苦労はしなかっただろうなぁ。でもね、中には「組織」に向かない人も居るのよ。大人数の中に居ると、時々そこを抜け出して一人になりたくなるような人も居るのよ。いつもいつも一人じゃダメなんだけれど、ずっと組織の中には居る事ができない人も居るのよね。また、時に組織というものは、自分達を守るために他の人や他の組織を犠牲にしてしまう事もある。組織の中ではそれが正義とされ、称えられる。その中に居るとフツーでも一般社会では?となる事も多い。時々「組織ぐるみの隠ぺい」なんて事件が起きるけど、その中に居るとそれがフツーだから、その異常さに気づかないのよね。で、その守られた中にずっと居れば何も問題は無かったのかもしれないのに、飛び出してしまった...。

そんなこんなで29年前、「とりあえず一人分、食べていければいいか」という楽観的発想で会社を辞め、一人で商売を始めたのでした。そして、自営業に就いてから気づいた事は、「荒稼ぎはできなくてもいい、自分が食べていける分を、ボチボチ稼ぎながらのんびり生きていきたい。」という、オラの当初の夢は叶わない、という事でした。そして、その原因は全て「税金」にあるという事も気づきました。

大きな船から飛び降りてしまった粗末な手漕ぎボートは、その若さもあり、これまで何とか荒波や灼熱の太陽に耐えてくる事ができました。しかし、やがて体力も衰え、いつからか、目指す方向さえも見失っていました。とは言うものの、働かねば食ってはいけず、毎日嫌々惰性のまま働いておりました。もう身体も精神もボロボロ。あのままずっと働いていたらどうにかなっていたかもしれない。いやいや、もうしっかりどうにかなっちゃってるじゃないの...。

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以前にも書いたかもしれないけれど、あれやこれやいろんな事をひっくるめて「なんでこんな事になっちゃってんだろ。」って思う事が良くある。その原因を追究していると、どんどん深い闇に入っていってしまう。こういう時、オラは、とても卑怯卑劣な方法をとる。それは、自分よりももっと不幸であろう人達の事を考えて、自分の今と比較してしまうのです。人としてどうかと思われるかもしれませんが、書かせて頂きます。

親に食事も与えられず餓死した幼児。焼けたフライパンを背中に押し付けられた幼児。通学中に車が飛び込んできて亡くなってしまった子供。性欲のはけ口にもてあそばれ殺された子供。災害で不幸にも亡くなってしまった人。自殺する小学生。銃を持たされた子供。特攻隊にさせられた子供。戦争に行かされた人。戦争に巻き込まれた人。

どれほど怖かったか、どれほど悔しかったか、どれほど無念だったか。
それと比べたら、オラはまだまだぜんぜん大した事はない。

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(続く)

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